スマート畜産とは、多種多様なデータに基づき営農を行う「データ駆動型畜産」のことです 。ICTを駆使することで、現代の畜産が直面する以下の課題を解決します。
労働力不足の解消: 担い手の減少や高齢化に対応し、作業の自動化を推進します 。
熱ストレスの軽減: 夏季の高温による家畜の生産性低下を、最新の環境制御技術で防ぎます 。
防疫・疾病対策の強化: 個体管理システム等により、疾病の早期発見と感染症予防を実現します 。
自給力の向上: データ活用により、輸入飼料への依存を抑えた効率的な飼養管理を支援します 。
次世代閉鎖型LPCV搾乳牛舎システム
2014年の農林水産省「攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業」から2020年のスマート農業実証事業を通して、アニマルウェルフェア(動物福祉)への対応と、飛躍的な生産性向上を同時に実現する最新の牛舎システムを開発しました 。
劇的な生産性の向上: 閉鎖型LPCVシステムの導入により、暑熱下でのストレスが大幅に軽減されます 。従来の開放型牛舎と比較して、1日1頭あたり平均6kgの乳量増加を達成しました 。
高度な防疫体制: 閉鎖型構造により、野生動物や鳥類、病原体を媒介するサシバエ・アブなどの侵入を遮断します 。これにより、牛白血病などの陽転率を有意に低下させる効果が確認されています 。
管理作業の97%削減: 搾乳ロボット、自動給餌機、餌寄せロボット、ふん尿搬出ロボットなどを統合 。畜舎内作業の大部分を自動化することで、労働時間を大幅に削減可能です 。
世界初のゾーン別環境制御: カメラ画像で牛の位置をリアルタイムに検出し、畜舎を細かく分けたゾーンごとに最適な環境制御を独立して行います 。
高額な初期投資を伴うスマート技術の導入が、経営の負担(固定化負債等)にならないよう、確実な手順を踏むことが重要です 。(公益)中央畜産会が2021年から2023年に「家族経営における畜産DX推進事業」を実施し、導入事例、導入の手順や留意点、判断基準などを取りまとめました(https://jlia.lin.gr.jp/chikusandx/)。私は事業推進委員として関与していました。当該事業を基本に私が考える以下の6段階のフローに基づいた導入を推奨しています。
導入目標の設定: 経営のビジョン、解決すべき経営課題を明確にします 。
農場の現状把握: 飼養環境や経営を数値で客観的に捉えます 。
目標の再設定と数値化: 投資対効果を見極め、具体的な数値目標を立てます 。
システムの選定: 農場の規模や目標、コストを勘案して技術を選びます 。
計画の修正: 必要に応じて導入スケジュールや構成を微調整します 。
導入後の評価: 実導入後に効果を技術面、経営面、農家の精神面から判定します。
成功の鍵:地域サポート体制の構築 技術の導入を農場主一人の判断に委ねるのではなく、地域の行政、大学、メーカー、金融機関、そして先行導入農家が連携してサポートする体制が、安定した経営には不可欠です 。