畜産農場にとって、悪臭問題は長年の最重要課題です。近隣住民の方々からの苦情により廃業を余儀なくされたり、新規開設が困難になったりするケースも少なくありません。最新のIT技術を用いた次世代型消臭システムの開発を通じて、地域社会と共生できる農場づくりを支援しています。
1. 現状の課題と「不快度」への着目
従来の対策には、コスト面や単一手法の限界という壁がありました。
多角的なアプローチの必要性: 芳香剤、オゾン水、脱臭装置など、単一の手法だけでは完全な防止は困難です 。
コストの最適化: 環境対策は直接的な生産性に結びつかないため、いかに低コストで高い効果を出すかが重要です 。
「不快度」の軽減: 単に臭いの強度を下げるだけでなく、近隣住民が感じる「不快感」をいかに和らげるかという視点で、特許取得済みのシステムを開発しました 。
2. テクノロジーによる精密な悪臭予測と制御
従来の「プルームモデル」では考慮できなかった複雑な地形の影響を、最新の解析技術で解決しました。
① CFD(数値流体力学)による高精度予測
農場ごとの地形、風向、風速を詳細に加味し、数キロメートル圏内にわたる悪臭の拡散を精密に予測します 。
② AIモデルによる自動制御
CFDで得られたビッグデータと、対策対象(市街地等)の座標、悪臭強度をAIが学習。気象条件に合わせた最適な芳香消臭剤の散布パラメータを自動決定します 。
③ ウェザーステーションとの連動
現地のリアルタイムな気象データに基づき、必要な時、必要な場所へ、最小限のコストで散布を行います 。
コスト削減の工夫: 芳香消臭剤と水の2系統を状況に応じて使い分けることで、噴霧資材のランニングコストを大幅に抑制しています 。
福島県で行われた実証試験では、本システムの導入により住民からの苦情がゼロになるという顕著な成果が得られました 。
私たちは、清掃(好気的条件の維持)という基本を大切にしながら、最新の科学技術を融合させることで、畜産業の未来を守ります 。